問題視したのは相手国の“消費税”
日本時間で1月21日未明、正式に米国大統領に就任したドナルド・トランプ氏だが、ここ40年ほど歴代の次期大統領が当選後3日程度で初の記者会見を行う中、当初予定された12月15日を直前にキャンセルし、大幅に遅れて1月11日の開催とした。何かと異例続きの大統領交代劇だが、会見の内容はその直前にリークされた、ロシアがトランプ氏のスキャンダルをつかんでいるとの「不名誉な情報」に終始した。
その中で「日本」という単語が出てきたのは2カ所だけに留まる。1つは利益相反についての話題をすり替えるべく、対米貿易収支の赤字問題が引き合いに出された際であり、2カ所目はプーチン大統領率いるロシアと自身の大統領選での関わりについて尋ねられ、ハッキングを言うなら中国の方が深刻であるとして南沙諸島の問題にまで話を広げた際となる。内政問題に突き当たると外政に目を向けるというありふれた戦略がトランプ氏の趣向のようで、今後も折に触れ唐突に日本が槍玉にあがる可能性は高い。
槍玉に挙がるといえば、記者会見の前になるが、トランプ氏が自身のツィッターでトヨタのメキシコ工場建設について異を唱え、「米国に工場を建てるか、高い関税(国境税)を払うかの二者選択以外にあり得ない」と名指しで批判した投稿が話題を呼んだ。
トヨタ自動車の豊田章男社長は、米国での13万6000人の雇用実績や、過去60年間で220億ドル(2兆5000億円超)の投資を強調したうえで、今後5年間でさらに100億ドル(1兆円超)を投じる計画を公表。「メキシコ新工場の開設が米国内での生産や雇用減少に繋がることはない」とし、同社広報担当も「トランプ政権と協力することを待ち望んでいる」との立場を表明しているが、トランプ氏の指摘は一企業へのバッシングだけを目的としたものとは違うし、米国内の生産減・雇用減だけの話でもなかろう。
ツィートが示すように、海外からの製品流入の際の関税こそが最大の問題とも言えよう。トランプ氏が選挙期間中から問題視していたのは、メキシコの付加価値税(日本の消費税に相当)の関税機能だ。