加速する一極集中地方波及は未知数

みずほ総合研究所は2014年12月に「2020東京オリンピック開催の経済効果は30兆円規模に」というリポートを発表しました。そこでは経済効果を2つに分けて試算しています。累計約28.9兆円の経済効果のうち、大会運営費や観戦客による消費支出などの「直接効果」が1.3兆円、首都圏インフラ整備や観光需要の増大などの「付随効果」が27.7兆円です。つまり五輪開催に伴う経済効果の大半は、直接効果ではなく付随効果として表れます。

経済効果は日本の実質GDPベースで算出しています。リポートの発表時に比べて日本経済の成長率がゆるやかなため、実質GDPの最終的な着地点は小さくなると考えられます。発表時は2020年度の実質GDPが600兆円弱との想定でしたが、現在は570兆円強とみています。ただ、下振れしたのは五輪以外の「アベノミクス効果」の部分です。五輪効果だけみると、上振れした要素もあり、推計は変えていません。

(呉 承鎬=構成)
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