希望退職の際、通常の退職金にプラスされる「割増金」。近年、大規模なリストラが話題になった大手企業では、いくらもらっているのか。

退職一時金はなくなる可能性も

退職金の額は企業規模で異なる。大企業の退職金の平均額は大学卒・総合職の60歳で約2358万円(経団連調査、2014年)だ。中小企業(従業員300人未満)の大卒は約1553万円(東京都調査、14年)。定年まで働いても大きな開きがある。

ただしこの金額がもらえるのは会社の経営が安定している場合の話だ。もし会社が倒産したら満額をもらえるとは限らない。

大企業の退職金は主に退職一時金と退職年金で構成されているが、年金は外部に積み立てているので保全されるが、一時金は自社で積み立てている。業績悪化で資金繰りに行き詰まって倒産となると、積み立てた一時金はないと思ったほうがよい。資産が残っていても退職金よりも税金の支払いが優先されるために微々たる金額しかもらえないだろう。

東京都の調査では中小企業は「退職一時金のみ」が7割を占めるのでより深刻だ。自社の退職金の仕組みを、就業規則の退職金規程を見て一度確認してほしい。

従業員持株会を通じて購入していた会社の株も同じだ。経営危機に直面すると株価も下がる。上場廃止や倒産するとさらに大きく下落する。会社清算や破産すれば株の所有数に応じて資産が分配されるが、こちらも購入額に比べて微々たる金額になる。

最近は台湾の鴻海精密工業に買収されたシャープや経営再建中の東芝の希望退職募集による大規模なリストラが話題になった。希望退職は通常の退職金に割増退職金をプラスして退職者を募る手法だ。割増分は基本給の何カ月分という指標で表されるが、1990年代後半は36~48カ月が相場と言われ、大手石油会社では通常退職金との合計で1億円を超える人もいた。

その後、希望退職募集が断続的に繰り返され、相場が急落。リーマンショック後は大手でも10~24カ月と言われた。シャープは15年7~8月に45~59歳の社員を対象に希望退職募集を実施し、3234人が応募した。このときの割増分は50歳が最も多く26カ月だった。ではいくらもらったのか。