子供を東大に入れた親の特技は「待つ」こと
同誌の特集内には、『田舎のキャバクラ店長が息子を東大に入れた。』の著者で「店長」の碇策行さんと、「息子」である東大4年生の誠悟さんの親子座談会記事も掲載されている。
「(東大生に共通している)自主性を育てるために何をすればいいのか?」という編集部からの質問に対して、策行さんはこう発言している。
「とにかく『待つ』こと。子供は何にしても、時間がかかる。食事するのも、何かを考えるのも。(略)大人は子供を待てないからせかしちゃうんだよな。早く早くと言われると、子供はせっかく何か考えていたのに、どうでもよくなって、行動が雑になる。それで親は怒る、って悪循環になるんだよね」
辛抱することはストレスになる。それは東大生の子の親も同じだろう。だが、どんなに仕事などで心のゆとりを失いそうになっても、「対子供」への寛容な精神だけはなくなさいように心がけている、ということなのだろう。
父親の尊敬できない点では、「説教くさい」「天の邪鬼」「真面目すぎる」「過度な母校愛」といった声が東大生から出たが、「辛抱強く見守り、怒らずに待つ」を貫く父親を子供は見習い、きっと受け継いでいくに違いない。
ちなみに、母親も、父親と同じように我慢強さを子供から尊敬されていることが、アンケートの結果からわかっている。
「きつい時にも弱音を吐かない」「仕事をしながら、文句を言わず家事をしている」「知らないところで仕事(家事)をこなす」……と、やはり家族に愚痴をこぼしたり弱音を吐いたりしない傾向が見て取れるのだ。
「たいていのことは笑って許してくれた」(理I・新潟高校卒)というコメントからも、父親と負けない器の大きさを感じさせる。
東大生たちの親は手取り足取り、子供に勉強を教え込むわけではない。どちらかといえば、放任主義だ。父親にしろ母親にしろ「どんと構えている」感があり、子供もそれを好ましく思い、「任されていること」に意気を感じ、自学自習する傾向が強い。