40代「平」と「課長」昇進で格差をつける
同様に仕組みこそ異なるが昇進・昇格で格差をつけている企業も少なくない。
ある大手消費財メーカーには職位と職務の2階層があり、職務は担当、マーケッター(M職)、ブランドマネジャー(BM職)の3つに分かれ、年齢に関係なく抜擢する。
標準的には36~38歳でM職、41~43歳でBMに昇格するが、早い人では34歳で女性のM職も存在すれば、逆に遅い人だと、44歳の男性の担当職も存在する。
同期でも、「40歳で課長職になれば年収1000万円を超えるが、課長職になれない平社員とでは数百万円の格差がある」(同社社員)という。
一方、若くして昇進しても格差をつけるのを避けている企業もある。ある運輸系企業は早い人は38歳で課長職に昇進する。しかし、年齢の高い平社員の年収が高いという。
「若くして課長になった人でも年収は800万円程度。それに対して40代後半の平社員が1000万円を超えている。会社は成果主義と言っているが、もっと格差をつけてほしいという不満の声も出ている」(同社社員)
年功的賃金時代には給与は低くても権限を与えれば一生懸命に働くという雰囲気があった。さらに上の役職を狙えるし、最終的な生涯賃金を計算することができたからである。しかし、企業の将来が不透明な今日、権限だけ与えて報酬が伴わなければモチベーションの低下を招きかねない。昇進・昇格を含めた権限と報酬格差のバランスをどう考えるのか。その解は一つではない。個々の企業に問われている問題だ。
(ライヴ・アート=図版作成)