ドン・キホーテ35歳で年収3倍差
業種・業態や会社の経営戦略によって方法論は異なる。日々の利益と向き合い激しい競争を展開している小売業界のドン・キホーテは半期ごとに昇進・昇格と賞与が大胆に変化する「半俸制」を導入している。
同社の役職は職位と役割に基づく職責の大きく2つで構成され、職位は入社後のスタッフ、サブチーフから上位のマネジャー、ゼネラルマネジャー、ディレクター、プロデューサーまで10段階。職責は家電、時計・宝飾など取り扱う商品群に分かれた7つの事業部系に売り場責任者であるカテゴリーコーディネーター(CC)など7段階、店長、統括店長、支社長など店舗系に6段階がある。
利益を稼ぎ出す店舗の中核となるのが売り場責任者であるCCだ。CCには仕入れ権限などあらゆる責任と権限が委譲されている。店長は他社と違い各商品別のCCの調整役ないし全体の支配人的役割を持つ。
「自発的にこうしたいと申し出があればやらせてみるというのが当社の方針。もちろん失敗することもあるが結果に対しては正当に評価する。事業部ごとに営業方針は示すが、どういうやり方で売り上げや利益を確保するかはCCに委譲し、口を出さない。権限委譲することで本人のやる気を引き出すことを重視している」(有賀章夫・社長室兼営業推進室室長)
昇進・昇格のスピードは速い。能力があると見なせば入社半年でチーフに抜擢することもあれば、飛び級も珍しくなく、職責でも、半年でCCになる人がいる。実際に「新卒7年目で事業部トップのカテゴリーリーダーもいれば8年目で店舗系トップの支社長もいる」(有賀室長)という。
能力と評価で年齢に関係なく昇進・昇格に差をつける。当然ながら報酬格差も大きい。月例給は職位ごとに定められた基本給一本。賞与は、単純に半期ごとの成果に基づいて大きく変動する。
決定の手続きはまず、事業部のトップが部門全員を評価し、賞与額を決定。同時に店舗系トップ支社長が担当地域全員の賞与額を決定する。双方から提出された個々の賞与額リストについて社長以下支社長、各事業部トップで構成する「半俸会議」で検証し、最終的に決定する。
賞与額は半期だけで月給の最大4~5倍になることもあり、仮に月給30万円なら150万円、1年で300万円。同じ職位と職責者の賞与を比べると、半期だけでも100万円の格差が生まれることもある。
同社の中心層は30代であるが、この中にスタッフ職からディレクター(部長クラス)まで混在し、年収差は3倍の開きがある。