レクサス八王子店は全国に163ある同系列店のなかでもサービスのよさに定評がある。顧客に感動を与えたことが評価され、「ゼネラル・マネージャー賞」を初受賞した店舗だ。一歩入ると、従来のカーディーラーとはまったく違うことに気づく。

落ち着いた色調の店内には高級感のある家具が並べられ、エアコンも冷やしすぎということはない。高級ホテルか空港のVIPラウンジといった雰囲気だ。そして、女性の応接スタッフも常時、待機しているし、エスプレッソ、ジュースといったソフトドリンクも飲み放題である。若いセールスマン集団がファイトとガッツで突っ走る従来型の「カーディーラー」からは想像もつかない、落ち着いた感じの店舗なのだ。

1列に並んで進行。ブランドステートメントは、ほとんどのスタッフが暗唱していた。

1列に並んで進行。ブランドステートメントは、ほとんどのスタッフが暗唱していた。

そうした場所だから、朝礼でもこぶしを振り上げてエイエイオーと絶叫するようなことはない。

従業員は毎朝、午前9時15分に整列し朝礼を始める。朝礼の時間は15分程度で、内容は5つに分かれている。

ひとことスピーチ、ゼネラル・マネージャーの講評、マネージャー(副店長)の挨拶、顧客の来店時間の確認、そして、最後がレクサスの「ブランドステートメント」を唱和すること。

店舗の責任者、高橋要ゼネラル・マネージャーはレクサス店舗における朝礼の意義についてこう説明する。

 「トヨタにはセンチュリー、セルシオと高級車はありました。しかし、きちっとしたブランドラインの車種はレクサスが初めてです。ブランドという意味をみんなであらためて考えるために毎朝、ブランドステートメントを唱和しています。朝礼をやらないと、なんとなくダラダラと仕事が始まってしまう。それが嫌なんです」

どれほど店舗をオシャレな雰囲気にしても、朝礼というセレモニーがないと、日本人は気持ちが引き締まらないのかもしれない。

(川本聖哉=撮影)