「6月18日は、私たちの悲願達成の日。新たに借り入れできなくなると盛んに報道されていますが、私たちに相談すれば必ず解決できます。借金で悩んでいる人はすぐに相談してください」
こう語るのは、全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会の本多良男事務局長だ。闇金融が社会問題化した2000年代初めから、被害者の会の相談員としても先頭に立ち闇金融被害、多重債務被害の撲滅に向け取り組んできた。その本多事務局長が言う「6月18日」とは、改正貸金業法の“完全施行日”である。
06年12月、臨時国会で全会一致で可決・成立した改正貸金業法は、07年1月、同年12月、09年6月と段階的に施行し、今回で完全施行となる。これまでは、貸金業者の純資産の引き上げ、貸金業取扱主任者という国家資格の設置など貸し手側への規制強化が主たる眼目だった。また、消費者金融やクレジットなど業界ごとで分かれていた信用情報機関も統合され、個人の借金総額がクリアに判明する信用情報のシステムづくりが進められてきた。
今回の完全施行では、29.2%から20.15%へ上限金利の引き下げ、貸金業者のさらなる純資産の引き上げといった貸し手側に対する規制がさらに行われるとともに、借り手側には借り入れ額が年収の3分の1を上限とする「総量規制」が導入される。昨春辺りから金融機関が顧客に対し、収入証明書の提出の通知を始めた。提出しない場合、それ以上の借り入れはできず、提出した場合も年収の3分の1以上借りている人は新たに借り入れは不可能で、今後はひたすら返済していくしかない。これこそが、返済のために借りるという“負のスパイラル”防止には効果的だという理屈だ。
また、収入のない主婦は、夫の同意があれば借り入れは可能だというものの、「内緒で借金」はできない仕組みとなった。ところが、この「借金」の計算は、消費者金融だけに限らず、クレジットカードのキャッシングも対象となっている。自分は安心だと、「対岸の火事」だと思っている人も危ないのだ。