さらに、元アイフル社員で、『サラ金全滅-過払い金バブルの狂乱』(共栄書房)などの著書があるライターの笠虎崇氏はこう警鐘を鳴らす。
「クレジットカードの利用代金を延滞すると、ブラックリストに載せられる恐れもあり、借り入れの審査が厳しくなると考えられます」
まさに他人事ではない話なのだ。
一方、改正法完全施行を心待ちにしているのは、被害者救済団体と弁護士ばかりではない。実は闇金融業者たちもそうだという。
「ちょっとしたことで、30万、50万のカネが借りられなくなる人が増えれば、ウチらのような存在が必要」
暴力団主導の闇金融は鳴りを潜めたが、かつての“街金融”の流れをくむ“ソフト闇金”が出現している。彼らの出番は多くなりそうだというのである。
借金の理由は千差万別だ。不況によるリストラをはじめ、苛烈なノルマで生活苦に陥るサラリーマンも少なくない。国立大を卒業し、大手生保に入社したAさん(50歳)は、出世街道をひた走っていた。しかし数年前、本社から甲信越のある支店長に赴任した際、雪だるま式の借金を背負うことになった。
「保険外交員がノルマ達成のため、自腹を切って契約を取ってくることを知り、私が肩代わりをしました」
数百万円の借金が、気がつくと銀行のカードローン、カード会社、消費者金融計14社から約3000万円まで膨れ上がっていた。年収1000万円のAさんは東京・目黒の自宅を売り払い、早期退職制度を利用して得た退職金も返済に充てた。理不尽な会社に異議を申し立てなかったAさんを責めることは簡単だろう。また、部下に甘い顔で自分が負債を背負うことを非難することもたやすい。しかし、Aさんは誰を恨むこともなく、今は平穏な生活を送っている。
(宇佐見利明=撮影)