世界「3強」が異業種提携で「異次元空間」へ

世界の自動車大手が先を争うように、「異次元空間」に飛び込んでいる。

AI(人工知能)やシェアリングエコノミーをはじめ、既存の自動車技術と異なった領域でIT(情報技術)企業などと提携し、自動運転や環境規制強化、あるいはライドシェアと呼ばれる配車サービスへの対応に一斉にアクセルを踏み込み出した。その姿は量産技術確立から100年を超えた自動車産業にとって歴史的なパラダイムシフトであり、産業革命以外の何ものでない。

自動車大手とIT企業の異業種提携のケースとしては、直近でホンダとソフトバンクが7月21日、AI分野で共同研究を始めると発表した。「感情エンジン」と呼ぶ人の感情を読み取るAIを搭載し、自動車が人との対話で情報をやりとりしたり、安全運転につなげる技術で次世代自動車の実用化を目指す。さながら、1980年代にヒットした米国のテレビドラマ「ナイトライダー」で描かれた近未来を彷彿させる。

異業種提携は両社にとどまらない。世界市場で年間1000万台規模の生産・販売で覇権を争うトヨタ自動車、ドイツのフォルクスワーゲン(VW)、米ゼネラル・モーターズの「3強」はそれぞれ、異業種提携を通じた異次元空間へのアプローチをいち早く強めている。

トヨタは米国でAIの研究開発拠点に巨額を投じているほか、配車サービスをめぐっても6月に最大手の米ウーバー・テクノロジーズと資本・業務提携した。VWも同業のイスラエル企業との提携を加速し、GMは自動運転のベンチャー企業を買収し、米配車サービス大手のリフトに出資し、第3の波が押し寄せる近未来の自動車産業を見据える。