ニューヨーク国際自動車ショーで、3月24日、マツダの「MX-5」(日本名 ロードスター)が「2016年世界カー・オブ・ザ・イヤー」とデザイン部門の「世界カーデザイン・オブ・ザ・イヤー」を同時受賞という史上初の快挙を成し遂げた。さらにそのおよそ1カ月後の4月22日には生産累計100万台を達成した。なぜマツダ「ロードスター」はこのように世界で愛されるのか、ロードスターの開発現場を徹底取材した。

世界2冠同時受賞は自動車の歴史に残る快挙

3月24日、マツダ・ロードスターがワールド・カー・アウォード(World Car Awards)主宰の自動車賞で、最高の栄誉となる「2016ワールドカー・オブ・ザ・イヤー(WCOTY)」を与えられた。現在米国で開催中のニューヨーク国際オートショーで発表、同時にその授賞式が行われた。ロードスターはこれに加えて「2016ワールド・カー・デザイン・オブ・ザ・イヤー(WCDOTY)」も同時に受賞。

3月24日、ニューヨーク国際自動車ショーで、マツダの「ロードスター」が「2016年世界カー・オブ・ザ・イヤー」とデザイン部門の「世界カーデザイン・オブ・ザ・イヤー」を同時受賞という史上初の快挙を成し遂げた。

同賞の対象は直近の1年間に誕生した乗用車。したがって、ロードスターが総合的に最も優秀と認められたばかりでなく、そのデザインに対しても最高の評価が与えられたことになる。

同賞が創設されたのは2004年という。それ以来昨年の2015年までにカー・オブ・ザ・イヤーを獲得した11のモデル(実際の授賞は2005年から)を振り返ってみても、このふたつの賞を同時に手にしたモデルはない。ダブル受賞は、昨年5月に発売されたオープン2シーターの軽量スポーツカー、ロードスターが初めてなのだ。その意味で、これは日本の自動車の歴史に残る快挙、と言っても決しておおげさな表現に過ぎることはないだろう。

日本の自動車の歴史という観点からすると、日本がこれまでに生み出した“グローバル・カー”の双璧は、トヨタのセルシオ、そしてこのマツダのロードスターではないかと筆者はかねてから考えている。前者はその精緻な仕上がりで世界の高級車メーカー・市場に衝撃を与え、その後トヨタが高級ブランド“レクサス”を生む礎となり、レクサスの旗艦モデルであるLSへと発展進化している。後者は、1980年代当時“絶滅危惧種”と思われ開発意欲をなくしていたオープン2シーターの軽量スポーツカーのメーカー各社に大きな衝撃を与えることによって、そのマーケットを世界的に甦らせ、活性化に貢献した。

両者(車)とも誕生と同時に世界的な評価を得て、ともにグローバル・カーとしての立場を確立していった。発売されたのが同じ年、1989年、というのも偶然の一致とは言い切れない何か因縁のようなものを感じてしまうのは、筆者だけだろうか。というのも、昨年このロードスターが発売されるわずか1週間前の5月13日、トヨタとマツダの両社は業務提携に合意したことを発表しているのだから。