現代の高齢者が孤独死しやすい理由
単身の高齢者を外に引っ張り出そうと、いろいろな取り組みがなされていますが、出てこない人は出てきません(私も、そういう老人になると思います)。単身高齢者が多いエリアに目星をつけ、定期的な安否確認をしようにも、人手不足でこちらもなかなかうまくいかない。
しかし、現代はIT社会です。単身高齢者にスマホを渡し、1日1回でもツイッターで何か呟いてもらう。これも立派な安否確認になるでしょう。
私はツイッターをやっていますが、3日ほど小旅行に行った時、ツイートが途絶えたことがありました(私はスマホを持っていません!)。すると、見知らぬ人から「ツイッター止まってますけど、大丈夫ですか」というメールがきているではありませんか。SNSには生存確認の機能もあるのだな、と思った次第です。
われわれの世代はこの種のSNSに馴染んでいますが、より下の世代は、幼少期からそうである「デジタル・ネイティヴ」世代です。この世代が高齢者になる頃は、孤独死はあまり問題化していないのではないかと、少しばかり楽観しています。
社会の変化に伴い、人と人とのつながりは「アナログ」から「デジタル」に移行しています。今の高齢者の不幸は、こうした変化の過渡期にいることです。リアルな付き合いが減っている(孤族化)にもかかわらず、それを補うデジタルな交流の術も持ち合わせていない。孤独死は、こういう状況の所産であるともいえます。
それゆえに人為的な働きかけが求められるのですが、まずなすべきは、ITによる安否確認のネットワークを構築することではないでしょうか。このような実践のケースがすでにあるのなら、その成果がどういうものかを知りたく思います。
(図版=舞田敏彦)