競合する強力な小売り企業が隣接して店舗を構えていると「顧客は店を比較しやすい」と、ストラティジック・エッジのプリモは言う。しかし、これは必ずしも悪いことではない。現に、それらの店舗の一方が消えても、他の一方の業績が必ずしも上がるとはかぎらない。買い物客は概して、手間暇かけてでもより多くの選択肢の中から選ぼうとするからだ。事実、選択肢が1つだと購入する可能性は低くなる。

選択肢の存在は消費者の購買を促す。競争力のある製品・サービスを提供していれば、どんな企業でも市場で成功するだけの売り上げを勝ち取ることができる。つまり、競争相手はあなたの会社に大きな恩恵を施してくれるのである。次のような積極策を取れば競合関係から、さらに大きな利益を引き出すことができる。

●自社に適した競争姿勢を見つける

競争相手に対する自社の最も賢明な姿勢が「全面対決」か「共存共栄」か、それとも両者の中間かを判断する。

●様子見の間は相手に先行させておく

新しい製品やサービス、もしくは新しい市場を見つけたものの、当初のリスクと予想される利益を秤にかけて慎重さが必要と思われる場合には、競争相手が最初に薄い氷を踏んでくれるのを待とう。先行者利益を譲り渡すという点ではリスクもあるが、ITバブルの破裂が示したように、その利益は言われているほど大きくはない。