●同じ手を使って相手の上をいく

ハーバード・ビジネス・スクールのデイビッド・B・ヨッフィーは、「流れに乗る」戦術で「相手の勢いをうまく利用して相手の立場を弱めることができる」と言う。ウォルマートは1980年代、当時同社よりはるかに巨大だったKマートを相手にこの戦略を使って成功した。「Kマートが毎週出している宣伝チラシを自分たちの店の前に貼り出して、このチラシに載っているどの商品についても、当社は同じかそれ以下の値段で提供すると約束したのである」(ヨッフィー)。

●ライオンなら、ネズミを歓迎する

支配的プレーヤーも、競争相手の恩恵を受けることができる。最も目立つ恩恵は、小規模な競争相手のおかげで独占禁止当局のレーダーにとらえられずにすむことだ。「一方、さほど目立たない恩恵もある」と、ヨッフィーは言う。「最近の調査が示すように、小規模な競争相手がいることで、競争本能を磨き、さらに向上しようとする」。

●自社を滅ぼすような競争相手を想像する

競争相手の勝利や失敗から学ぶことはきわめて重要だが、ある意味で限界がある、と語るのは、コンサルティング会社、リーダーシップ・フォーラム(ノース・カロライナ州)の共同設立者ライアム・フェイヒーだ。彼は「競争相手を創作しよう」という五段階のエクササイズでこの問題に対処している。(1)競争相手はどのような経緯で生まれるか、(2)その企業戦略はどういうものか、(3)その企業はその戦略をどのように遂行するか、(4)その成功(または失敗)の原因は何か、(5)自社にとっての戦略的意味合いは何か。そして最後に、フェイヒーがクライアントに「なぜ『わが社がその競争相手になろう』と思わないのか」と問いかけるのだ。

競争相手について夜も眠れないほど心配する代わりに、競争相手が考えるように考える方向に自分の競争心を向けてみてはどうだろう。競争相手が仕掛けてくると思われる次の動きを読んで、自分自身がそれを実行するのである。

(翻訳=ディプロマット)
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