有権者は参院選を政権選択と考えていない
【塩田潮】安倍晋三首相が今夏の参院選に合わせて衆議院を解散し、衆参同日選を仕組むのでは、という憶測が飛び交っています。それどころか、参院選の前の3月解散説や4月解散説も取り沙汰されています。去年1月のインタビューで、2014年12月の総選挙実施を振り返って、「解散の時期を間違えないのは幹事長の一番大事な仕事」と話していましたが、「幹事長在任中の2度目の解散・総選挙」についてどう考えていますか。
【谷垣禎一(自民党幹事長)】しかし、ある意味で常識というのもありまして、総選挙はだいたい3年に1回ですから、2年半が経過したのなら、私も「そろそろそういうことも考えなければ」とか、返事の仕方も違ってくるわけです。ところが、まだ1年数カ月しか経っていません。私の立場も微妙でして、「衆議院は常在戦場」と言うと、「否定しなかった」と言われます。答え方が難しいんですよね。今の局面で、私が「考えている」と言えば、アクセルを踏み込んで解散風を吹かせたことにならないとも限らない。今の私の立場としては、「やはり総理が判断されることで、1年ちょっとしか経っていないときに、幹事長が軽率に口を利くべきことではない」とお答えしているんです。
【塩田】今夏の参院選、あるいは衆参同日選の勝敗について、どう展望していますか。
【谷垣】衆議院と参議院はかなり性格が違います。同日選の場合は、衆参の片方で勝って片方で負けるというのはあまりありません。勝てば多分、衆参の両方で勝つけど、負けるときは両方で負けるわけですから、なかなか簡単ではないと思います。
衆議院総選挙は、どちらかというと、政権選択の意識が働きます。民進党の岡田克也代表がどっちの方向に引っ張っていこうとしているのか、なかなか見えづらいところがあり、野党第一党の存在感が少し乏しいので、今のところは安倍政権と安倍さんが比較的よくやってるよねということになる可能性が高いと見ています。
衆参同日選はどうなるのか、よくわかりませんが、差し当たって現実にあるのは参院選です。ところが、参院選は有権者が政権選択と思っていませんから、自民党に対して、この頃、ちょっと頭が高いのではとか、少し驕っているねとか、感じ悪いねということになると、たちまち負けるのが参院選です。自民党がやりたいことを勝手にやっているという感じになると、参院選に向かって、そういう空気がバーっと広がっていく恐ろしさがあると思います。そのへんは慎重に判断する必要があります。