野党統一候補で戦った効果はあった
【塩田潮】4月25日に投票が行われた衆議院補欠選挙で、「決戦」といわれた北海道5区では、民進党などが擁立した野党統一候補が自民党候補に惜敗しました。民進党の選挙担当の特命副幹事長として選挙結果をどう受け止めましたか。
【馬淵澄夫(民進党筆頭特命副幹事長・元国土交通相)】スタートは、勝ち目がない選挙をどうやって組み立てたらいいのかと思いましたが、勢いがあり、選挙中、ずっと横一線と思っていました。私のミッションは京都3区補選と合わせて2勝し、安倍晋三首相が狙っていた衆参同日選をやらせないことです。2勝は果たせなかったですが、安倍さんは接戦となったこの選挙状況に驚愕したと思います。その意味で、官邸に躊躇なくダブル選に踏み込ませる状況は、変えることはできたと思っています。かなり焦っていますよ。
候補者の比較では負けていませんよ。むしろこちらのほうがよかったと思っています。将来の政権交代の受け皿という意味で、野党統一候補を擁して戦ったことの効果はあったと思います。ただ、若者を含めた無党派層について、われわれの池田真紀候補が7割の支持を得ていたのに、実際の投票では、20歳代は相手候補に流れたりした。投票に足を運ばせる運動がもう一歩、足りなかった。原因はさまざまあります。一つは民進党北海道連の組織の弱体化です。昨年の統一地方選で大敗し、地方議員が激減しました。足腰が弱まったことは大きかったと思います。
もう一つは、今度の選挙では、いろいろな若者がSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使って連携を取っていったけれども、直接投票行動に結びつけることができたかどうかという点です。ものすごい広がりとスピードで展開した。この運動を投票行動につなげていくという具体的な方法論が欠如していました。
【塩田】池田候補に「シングルマザーだった壮絶な過去を包み隠さず有権者に語ったほうがいい」と提案した、という記事を読みました(『サンデー毎日』2016年4月24日号)。
【馬淵】一度は超えなければいけないと思っていたんです。落下傘候補ですから、北海道の地に移住してきて、なぜ政治に取り組もうとしているのか、自身の政治を志す原点を説明しなければならない、と。
私的なことかもしれないけれど、政治家はすべてをさらけ出す覚悟が問われます。シングルマザーの前に家庭内暴力、一家離散、10代の結婚出産、夫の失踪、生活保護受給など、大変な苦労があったと思う。事実を自ら吐露すれば、壮絶な半生を送ってきた人が、政治にどんな強い思いを持っているかという強烈なメッセージが伝わるはずなので、僕はこれを自らの言葉で語るように説得し続けました。
【塩田】民進党は選挙での野党共闘をこれからも続けていくのですか。
【馬淵】絶対にやるべきです。今回は無所属候補でしたから、政党色を消してやりましたが、公認候補での野党連携の場合、政党間で主張の違いが鮮明になる。ここが難しい。参院選は野党連携の次のステージと思っています。全国に32ある1人区(定数1の選挙区)でどういう戦い方をするかによって、次期総選挙のステージが見えてきます。
【塩田】総選挙となると、政権選択選挙ですから、共産党も含めた野党共闘を組めば、共産党と政権を組むのかどうかという問題が出てきます。
【馬淵】当然、そこが問われます。