TBSの“ニュースの顔”杉尾秀哉氏が、夏の参院選に出馬する。TBSのキャスターというなぜ安定した“地位”を捨ててまで、民主党から立つのか? 注力する政策は? 選挙区の長野でインタビューを行った。

「ニュースの森」のコメンテーターやキャスター、JNNワシントン支局長も務めるなど、TBSの“ニュースの顔”として活躍していた杉尾秀哉氏が、今年7月に予定されている参院選で民主党からの出馬を決めた。自民党の大勝が続く中で「火中の栗を拾う」この選択に、果たして勝算はあるのだろうか。選挙区の長野に行き、杉尾氏に話を聞いた。

民主党から立候補する理由


長野駅前で選挙活動中の杉尾秀哉氏。TBSのニュース番組でおなじみの笑顔だ

杉尾氏に会ったのは、参院選の戦いの場となる長野でのことだ。テレビのこちら側で見る限り、杉尾氏は「穏やかな空気感を身にまとうニュースの人」という印象が強い。それだけに、本人に直接会うと、射るような目ヂカラが意外だった。それは同時に、自ら選んだイバラの道に対する覚悟の光を宿した目でもあったのだろう。

民主党幹事長の枝野幸男氏は、長野駅前で行われた街頭演説で「杉尾さんほどの有名人なら自民党から出馬することもできるだろう。だが民主党から、しかも次回は1人区となる長野から出る彼の決意を理解して」と訴えた。しかも、TBSのキャスターという安定した“地位”を捨ててまでの決断だ。当の杉尾氏は立候補の理由について「悩みに悩み抜いて決めた。これまでは、取材する側から安倍政権を見ていた。一強体制が行くところまで行ってしまった状況に危機感を覚え、今の状況にクサビを打ち込む手伝いがしたいと考えた」と話す。

記者時代は、元総理の羽田孜氏の担当だった杉尾氏。そのときの経験から「政治に緊張感とチェック&バランスを生む」と二大政党制の必要性を訴え、不利を承知で民主党から立つことにしたという。さらに「もともと判官贔屓の性格だから」と付け加えて笑う。