超過料金など払いたくない──。機内預け入れ荷物の重量厳格化に対し旅行客が防衛策に乗り出している。「スーツケースを大きさで選ぶ欧米客、ブランドで決める中国人客とは対照的に、日本人の優先順位はまず軽さ。さらに容量や丈夫さを加味しながら選んでいます」(銀座松屋の旅行用品売り場・土佐林紗代子氏)。

ゼロハリバートンの象徴・X型のプレスラインが「ゼロエアー」の人気を後押し。89リットルと容量も多い。

ゼロハリバートンの象徴・X型のプレスラインが「ゼロエアー」の人気を後押し。89リットルと容量も多い。

国際線エコノミークラスの荷物は3辺の和がおおむね157cm以内、23kg以下。制限重量を超えると50USドル程度の出費は覚悟しなければならない。

重量コンシャスな客を獲得しようとスーツケース市場ではいま6万円前後の超軽量型がしのぎを削っている。口火を切ったのが、サムソナイトから発売された「コスモライト」とリモワの「サルサエアー」だ。ポリプロピレンシートを幾重にも重ねた前者は、74cm×52cm×31cmで3.4kg、容量88リットル。軽量素材のポリカーボネートを使った後者は、75cm×48cm×28cm、3.2kgで84リットル。2011年に入ると、超軽量化路線の真打ちともいえる製品が登場した。エースが製造販売するゼロハリバートンの「ゼロエアー」だ。「スーツケースには強靱性も不可欠。樹脂の中で最も比重が小さく、水よりも軽い耐衝撃性ポリプロピレンでの成形にこだわった。技術的に難しく完成まで時間はかかったが、評判は上々です」( 同社事業戦略本部マーケティング室・難波敏史氏)。

「ゼロエアー」は、75cm×53cm×29cmサイズで3.6kg、容量89リットル。重さ、容量、耐久性のバランスのよさが支持され、シリーズは目標の2ケタ増で推移。ブランド全体でも前年比約2.5倍の売り上げをあげている。

旅行用品専門店のJ's旅道具池袋サンシャイン店では、簡易重量測定機「ラゲッジチェッカー」がよく売れるという。旅行客は、最後の最後まで重量確認に手を抜いていない。