繰り上げ返済による借入期間短縮には、定年後のローン破綻リスクを抑える効果もある。最近は35年ローンが一般的だが、45歳で始めたとして返済が終わるのは80歳。60歳で定年として、残り20年、果たしてローンを返し続けられるか。売却するとしても、今後、ほぼ確実に人口減少時代に突入するのだから、不動産価値も落ち込むことが予想され、ローンを精算できるだけの価格で売れるかどうかも疑わしい。その点からも、ゼロ金利の今、繰り上げ返済しやすい変動金利型ローンがお勧めだといえる。

すでに住宅を購入してローン返済中の人も、超低金利の恩恵を受けるためにローンの借り換えが有効だといわれている。が、これはケースバイケースだ。借り換えには、最初のローンを組んだときと同じように手数料や印紙代、保証料(元のローンの保証料が一部戻るため、それを充てることは可能)などの諸費用がかかる。ローン残高、返済期間、金利差によっては、借り換えのメリットが諸費用負担を下回るケースもある。一つの目安だが、例えばローンの残額が1000万円程度以下ならまず借り換える必要はないだろう。

借り換えメリットが大きいのは、最初の優遇期間が終了すると金利が一気に上がる、金利優遇型のローンを組んでいる人だろう。例えば、旧住宅金融公庫の「段階金利型ローン」の場合は最初の10年で優遇期間が終了する。そのタイミングと合わせての借り換えがお勧めだ。

(構成=村上 敬)