今、首都圏のマンション市場は品薄感が強い。2008年のリーマンショックによる金融危機で新興デベロッパーが相次いで倒産し、生き残った業者も金融機関の融資引き締めによって用地取得が停滞。新築の供給が減る一方、住宅ローン減税で需要が喚起され、需給ギャップが生じたからだ。
10年後半から11年にかけて供給は回復基調にあるが、品薄感の解消はまだ先で、竣工前に買い手がつく「青田買い」が続いている。結果、販売業者の「いい物件はすぐなくなりますよ」というトークに急かされ、じっくり検討しないまま契約してしまう人も少なくないようだ。
しかし、竣工前でも、ローンなどの基礎的な条件に加えて、検討しておくべき要素がある。
まず、住宅ローン以外にもマンションには「管理費」「修繕積立金」といったランニングコストがかかること。とくに修繕積立金は、購入当初は月数千円程度に設定されているが、ほとんどの場合、値上がりする。私がかかわった案件でも、購入時は月4000円だった修繕積立金が、6年後の現在は9600円に、さらに3年後には1万2000円へ値上がりする予定だ。
修繕積立金が当初低く抑えられているのは、販売時に少しでも買い主の返済負担を軽く見せるため。そもそも長期修繕計画は宅地建物取引法上、告知義務のある「重要事項」の一つではない。何年後にいくらになる計画なのか、購入前に分譲事業者に、中古の場合は仲介業者や管理会社に必ず確認する。
もっとも、必ず計画どおりの額になるとは限らない。予期せぬ工事の発生で積立金不足となり、計画以上に値上がりになるケースが多いのも事実である。