普通のサラリーマンががんばって貯金をしても、1億円は難しい。リタイアまでに本気で1億円を目指すなら、若いうちからの大胆な人生設計が必要だ。そこでお金のプロ2人に、金持ち老後への道案内をしてもらった。
1億貯めるにはどうすればいいのか
いまは老後のマネープランが立てにくい時代だ。公的年金が当初の約束どおり支払われる見込みは薄く、支給開始年齢の引き上げや減額は既定路線になっている。
実際、今年5月、政府の経済財政諮問会議は一定の収入を超えている高齢者について、年金額を減らす仕組みの検討を始めた。年金制度そのものは破綻しなくても、条件が悪くなることは避けられないだろう。
一般に老後に必要な資金は3000万円と言われる。しかし、それは年金がきちんと支払われた場合の話だ。先行き不透明ないまは、3000万円に多少上積みしたところで不安からは逃れられない。
老後資金の不安からフリーになるために、夢は大きく1億円というのはどうだろうか。60歳までに1億円あれば利子生活も夢ではないし、少しずつ取り崩すにしても十分な額だ。
問題は、それが可能であるかどうかだ。家計相談のプロフェッショナルである藤川太氏にシミュレーションしてもらったところ、身もふたもない結果が出た。
「普通のサラリーマンに貯金1億円は難しいです。若いときから意識的に貯蓄したり、無駄遣いをしなかったとしても、6000万円程度が限界です」
シミュレーションの内容はこうだ。夫は年収320万円からスタートして、退職時は年収700万円に。妻は派遣社員で、年収300万円からスタートして60歳で年収420万円に。子どもは2人で、妻は出産後、育休を取る。生活費は月20万円で、住まいは賃貸。家賃として月10万円かかる。どこにでもいる標準的な世帯だ。
「ほぼ同じ条件でも、子どもを産まなければ1億円の大台が狙えるかもしれません。しかし、それで目標額を達成できても、『貯めてどうするの?』という話になってくる。せっかく貯めても、それを一緒に使う家族がいないのは寂しい。結果的に子どもが生まれなかった世帯は別ですが、最初から1億円のために子どもをつくらない選択をするのは、本末転倒です」(藤川氏)