突然首が動かなくなった!

この数年、年間10冊近いペースで本を書いている。毎日朝から夕方までパソコンとにらめっこ。人間工学に基づいた、腰に負担の少ない椅子を使っているし、ノートパソコンはやめて、大きなデスクトップのディスプレイを使っている。それでも、1日5時間以上パソコンに向かっていると、肩や首がガチガチになる。同様の症状を感じているオフィスワーカーは多いのではないだろうか。

無理をしすぎたあるとき、突然首が動かせなくなった。右側にはいいのだが、左側に少しでも動かすと後頭部から背中にかけて激しい痛みが走る。しかも右側頭部には鈍痛があった。困っていた。

近くにたまたまカイロプラクティックの先生がいた。わらにもすがるような思いで見てもらった。あおむけに寝て、頭蓋骨を下から支えてもらって、首をリラックスさせてもらい、そのあと背骨をチェック。背骨の、ちょうど肩甲骨の間のあたりにゆがみがあったらしい。それをその場でポキポキっと調整してもらった。すると、あら不思議。急に首が動くようになった。側頭部の鈍痛も、それから数時間後にはほとんど消えていた。

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背骨のゆがみと病気の関係

その後、何度かカイロプラクティックに通った。私はもともと猫背気味で、パソコン作業をしているとすぐに背中に負担がかかってしまう。それで肩や首のコリが生じやすいことは自分でも理解していた。しかし意外なことも指摘された。「おおたさん、胃も悪くないですか?」。そう。人間ドックを受けると、いつも逆流性食道炎を指摘される。

原稿を書きながらコーヒーを飲むからだと思っていたのだが、原因はそれだけではなかったようだ。ちょうど猫背になる第4胸椎、第5胸椎あたりの背骨がゆがむと、胃の病気も発生しやすくなると、カイロプラクティックの理論では考えられているのだ。猫背はなかなか直らないが、定期的にカイロプラクティックに通うことで、近頃では胃の不調もだいぶ軽減された気がする。

背骨は体を支えているだけではなく、神経の通り道でもある。背骨がゆがむと、神経の通り道が狭くなり、神経伝達に悪影響があるのだそうだ。神経の役割は痛みを伝えるとかいうことだけではない。最も重要なのは自律神経。全身に張り巡らされ、体の不調を察知し、調整したり、修復しようとしたりする役割をもっている。その働きが弱まることで、体の不調が直りにくくなり、結果、病気に至ることがあるのだ(図参照)。