もちろん、聞きっぱなしではダメで、人から聞いたヒントを手がかりに本や資料などで自ら調べて追究し、整理しておく。そうすることで、人から聞いて得られた情報にも広がりが出るはずだという。情報はいくら集めて整理してみても、ビジネスマンにとってはその情報を自分の仕事に生かさなければ意味がない。三菱地所会長の木村惠司氏がこう指摘している。
「情報を集め、情報から十分に学んだら、その後はどうすればいいでしょうか。『論語』のなかで、孔子が次のように述べています。
学んで思わざれば則ち罔(くら)く、思いて学ばざれば則ち殆(あやう)し。
この意味は、知識や情報を得ても、その後に、よく考え抜かないと物事の道理がわからないし、逆に考えるだけで具体的な情報が欠けているのでは、独断になり危うい、ということでしょう。
ずいぶん手厳しい言い方です。情報を得て事足れり、という姿勢は許さないぞという警告でもあります。これは『学思(がくし)』という名で知られる教えです。情報を得たら、それをもとに、思考を深めるべしということです」(プレジデント誌08/8.4)
(熊谷武二=撮影)