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多くの企業トップが「勉強法」に挙げるのは、当然と言うべきか「読書」である。学生時代に作家を志したこともあるファミリーマート会長の上田準二氏は読書家で知られる。伊藤忠商事に勤めていたときの驚いた体験を「業務に追われるなかで、『あれ、こういう局面は、前にも経験してるな』と感じることが、しばしばあった。採るべき方策が次々と湧いてくるのです。そうした直観に沿って行動すると、実際、事態は予想通りに進み、幸いにも難を逃れられる。『俺には予知能力があるのか』と訝しんだほどです」(プレジデント誌10/4.12)と言い、その能力が何によってもたらされたのかをこう説く。

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(右上)月に何冊の本・雑誌を読んでいますか。(右下)あなたは、下記選択肢のどちらを優先しますか。(左)本を購入するのは、どこですか。

「あるときに気づきました。おそらく過去に読んだ大量の物語が、データベースとして私の頭の中に収まっている。それが場面や局面に応じて、自然と湧き出てくる。どれだけ時代が進み、技術が進歩しても、文学作品で描かれてきた人間の特質は、依然として我々のテーマであり続けています。

1人の人間が経験できる人生は1つだけです。しかし100冊の心に残るような本を読めば、100通りの人生にも勝る経験を積むことができる。ビジネスの現場で、経験は強力な武器となります」(同)多忙を極めた社長時代でも年間60冊を読破した前中国大使で伊藤忠会長も務めた丹羽宇一郎氏も、本を読むことは時空間を超えて、自分では体験できない経験をすることだと言う。

「自身が経験した漠とした不思議さが先人たちの経験と結びつき、普遍化される。私の場合、2500年前の『論語』と出会い、経営の根幹にすべき倫理を学んだ。人間には本来、私利私欲や自己保身に走る『動物の血』が流れている。今回の金融危機はその歯止めが利かずに生じた資本主義の暴走以外の何ものでもない。その過程では自分たちの能力を過信した数々の強欲や傲慢が跋扈したことだろう。

一方、『論語』が説く『仁・義・礼・智・信』の五常や『温・良・恭・倹・譲・寛・信・敏・恵』の九つの徳目を心がければ、自らの驕りを抑え、謙虚であり続けることができる。この自律自省の精神を実践していくと長期的には必ず成果に結びつく」(09/4.13)

(熊谷武二=撮影)
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