会社というものは、形式的には株主のものだが、実際は明らかに独立した社会的実在として認識すべきものである。終戦直後の焼け野原の時代であったなら、会社は個人が集まった仮構のもの、という理屈は通用しただろうし、今でも中小企業ならこれはあてはまるだろう。
しかし、日本が経済大国となってすでに久しい今、グローバルな舞台で活躍する大手企業については、この考え方はどう見ても時代遅れだ。
完全子会社の配当にまで課税しろとは言わないが、それ以外の投資先一般の配当については、社会的実在に対する投資であり、これは負担能力のある所得であるから全額課税すべきだ。なのに、課税金額から50%を除外しているのはおかしい。
15年度の税制改正には、この受取配当課税の是正が含まれているが、甚だ不十分であると言わなければならない。
今の税制は表向き公平・公正だが、先の消費税の例からもわかるように政治家の利権となり、妥協と談合と癒着によってつくられた矛盾の塊と化している。財政赤字で消費税を上げるか否かで大騒ぎしたのに、経団連は法人税の引き下げ圧力をかけ、一方で露骨に政治資金を斡旋する。自民党が経団連からOKを取り付けなければ、法人税制を変えることは困難だが、一度得たこの既得権益を、経団連が手放すとは到底思えない。