大手の税負担率は中堅・中小よりはるかに低い

おかしなことは、それだけではない。現在の日本の法人税の実際の負担は、企業の規模によって著しい格差が存在していることがわかる。

資本金額の大きさごとに、法人所得に対する国税・地方税の合計税額の平均負担率を示したグラフを見てみよう。

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大手企業は、税負担が軽くなる

注目すべきは、資本金100億円超の大手企業だと、法人税等合計税額の平均負担率が、外国税額を含めてもわずかに17.20%と極端に低い。法定正味税率38.01%の半分にも達していないのだ。

これに対し、資本金1億円超~5億円以下の中堅・中小企業が37.92%負担しており、限りなく法定正味税率に近い。資本金1億円以下の法人には、中小企業に対する軽減税率(年所得800万円以下の部分は15%に軽減)が適用されており、法定正味税率より低くなるのは当然だ。

問題は、資本金100億円超の大企業の負担率が、同1000万円以下の小規模企業の負担率30.07%よりはるかに低い17.20%にとどまっていることだ。いわば“逆累進”構造となっているのである。

こうした異常事態は、企業優遇税制である租税特別措置の政策減税が特定の大企業に集中していることと同時に、法人税制の仕組みそのものの欠陥に負うところが大きい。