この国のかたちをつくりあげた、有名無名な勇者たち73人の残した轍に、混乱の世を生きる現代人の道標を探す。あなたに似たリーダーは見つかるだろうか。

ビジョンはなにか。

リーダーにはなくてはならない当たり前の要素のはずだが、案外欠落しているものでもある。「方向性だけ決めて、適当に進んで、あとはそのときに考える」というおおらかさがあってもいい。ビジョンが明確ならば、不慮の出来事で軌道修正を強いられたときでも、リーダーの姿勢がぶれることはない。付いていく者は安心できる。勝海舟や徳川慶喜には明確なビジョンがあった。しかし清河八郎のように、今思えば時代をひっかきまわすだけで何をやりたかったのかわからないリーダーもいる。

今もって人気の衰えない新選組。彼らは幕末の風雲に乗じた感があるが、局長・近藤勇は、潰れかかった親会社(徳川幕府)にあくまで忠誠を通した。会社が危ないと見るや、逃げ出す仲間も多かったという状況下において、である。必敗になっても投げ出さない。その意味でビジョンは揺るがなかった。

(構成=須藤靖貴 撮影=宇佐見利明)