学び直しには、物語から入るのが近道だ。『宮本武蔵』『鬼平犯科帳』『半七捕物帳』などの古典から2020年を映し出す最近の注目作まで、歴史小説、時代劇をこよなく愛す2人の読み手が、入門に押さえておきたい「大定番」104作品を語りつくす!

「歴史愛好家」への第一歩は物語から

優れた歴史小説の作者たちは、徹底的に史実を調べ上げたうえで、上質なエンターテインメントに仕上げる。

図書館で古い本の教育コンセプト
写真=iStock.com/Chinnapong
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それまで常識と思われていた史実を覆すような物語もあれば、史実そのものを辿ることでドラマチックな物語を紡ぎ出すこともある。徹底した時代考証の土台のうえに、架空の主人公が活躍する作品もある。

「歴史愛好家」への第一歩は、まず歴史小説、時代小説を読むことから始めよう。ストーリーに引き込まれるままに読み進めていくと、知らず知らずのうちに、歴史への興味が強くなる。だが、それだけではない。

歴史を知ることは、現代を知ることでもある。

小説、漫画から映画、テレビドラマまで、歴史物語を読みつくし、観つくしている文芸評論家細谷正充氏と、縄田一男氏に、「歴史を学べる大定番」というお題で、珠玉の104作品をあげていただいた。

「歴史小説は作者の解釈を通じて読者がどう受け取るか」というのは、細谷氏。「歴史小説は、それが書かれた世相を映し出す合わせ鏡」だというのは、縄田氏。

どれもこれも読みたくなる2人のレビューに耳を傾けてみよう。