大手5社の次世代リーダーが美瑛に集まった理由
美しい丘の町として知られる北海道・美瑛町は、他の地方都市同様、人口減少や観光客の減少、農家の後継者不足など、様々な地域課題を抱えています。そうした地域的課題の解決につながる提案プレゼンテーションの発表イベントが、2014年10月25日、美瑛町の町民センターで行われました。
「世界的に有名な『青い池』をはじめとした美瑛の観光スポットをライトアップし冬季の観光客を集める」「美瑛の野菜や肉を丘で味わうBBQを通して農家と観光客の交流を図る」「新規就農者を増やすため、人材派遣や研修を行う組織を新設する」など、町を活性化する提案が次々と発表されました。これらはいずれも採用され、実現に向けての検討が始まっています。
実はこのイベント、大手企業5社による若手社員向け異業種コラボレーション研修「地域課題解決プロジェクト」の一コマ。美瑛町長をはじめ、集まった150名の美瑛町民の前で渾身のプレゼンを行ったのは、研修に参加した20~40代のヤフー、インテリジェンス、アサヒビール、日本郵便、電通北海道の社員と美瑛町職員や観光協会、農協、商工会の職員たち。業種も職種も勤務地もバラバラな混成メンバー5、6名からなる6チームが、2014年5月から10月の5カ月間、それぞれの仕事をこなしつつ、協力し合って地域課題に対する解決策を練り上げ、この発表に至ったのでした。
昨今では、異業種との連携によって、新事業や新製品開発に取り組み、新たなビジネス創出につなげようとする「異業種コラボ」ビジネスの動きが活発です。12年新宿にオープンしたユニクロとビックカメラの共同店舗「ビックロ」もその一つといえます。
こうした流れを受けてか、企業の人材育成の世界でも、2社以上の社員が合同で研修を受ける「異業種コラボ研修」が行われることが増えています。ただ、今回のような異業種5社が、5カ月という長期にわたって、しかも地域課題解決を題材に研修を行うということは、日本初(もしかして世界初?)のことかもしれません。
企業は異業種コラボ研修に何を求めているのでしょうか。そして、個性豊かな異業種メンバーが協働する研修で、各社の次世代リーダーたちは何を学んだのでしょうか。今回はこの異業種コラボ研修をご紹介したいと思います。