生き残る体育会系、落ちこぼれる体育会系

だが、体育会系がすべて35歳で失速するわけではない。

実際に部長職や取締役に上りつめた人も何人か知っている。その人たちに共通するのは2番目の魅力である「自分を高めようとする力」を持っている人だ。

体育会系ラグビー部出身の大手企業の人事部長を務めた人はかつてこう語っていた。

「20代の後半に営業成績がトップになり、有頂天になっているときに上司に叱責されたことが転機でした。上司は『お前、どんな本を読んでいる。たいした本は読んでいないだろう。大学でろくに勉強しなかったくせに本もまともに読んでいないのは、お前にとっては大きなハンディなんだよ。他のやつらの中には経済学、文学、哲学を学んできた者もいる。今は役に立たなくてもいつか役に立つものだ。この会社で偉くなりたいと思ったら毎日と勉強することだ』と言われました。そのときから閑を見つけては仕事に関係する本だけではなく、片っ端から読みましたね」

自分を高めようとする力は、学び続ける力に通じる。体育会で培った勝ち上がるための学ぶ力をうまくビジネスの世界に転用できたことが、新たな道を開いたともいえる。

単純に体力一辺倒で採用する企業の目利きの能力にも問題はある。体育会系ということで大手企業に入った社員も「学び続ける力」を失ってはならない。

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