「出会って3年ほどは何を仕掛けようかってワクワクしますから。一番楽しんでいる人間が一番いい仕事をする。競合が10年選手なら、こちらが勝ったも同然です」

そんなときめきを原動力に、「1、2年後にお客様の役に立ちそうなことを早め早めに伝え」て共感を得る。

その辣腕ぶりを買われて2009年2月マイクロソフトに転職、7月には法人営業の組織を率いる業務執行役員・流通サービス統括本部長に就任した。女性上司の難しさは承知している。「いきなり女性がやって来て、上からガーンと言ってもダメ。最初の3カ月は自分の価値観や一緒に汗をかく覚悟を部内に伝え、組織と一体になることに徹した」。新しい職場でその手応えを感じているのか、持ち前の笑顔で本格始動をさらりと宣言した。

「そろそろ自分流のオペレーションをやっていきますよ。まだあまり厳しくやっていませんから」

(文中敬称略)

■服装や靴の選び方…接待のテーブルでは上半身しか見えないので、上に柄物などで明るさを演出。商談で資料を指さすので、ネールケアは念入りに。

■お客様との接し方…何でも話してもらえるように、堅すぎず、柔らかすぎず、適度な“女感”で話しやすい雰囲気をつくる。

■セクハラ防衛法…日頃から「旦那とラブラブなんです」などと予防線を張る。キス魔には「唇はダメだから、じゃあほっぺだけ」と自分から頬をさし出したこともある。ある線までは自分から近づいてしまうのも手だという。

■ONとOFFの時間…あまり区別せず、どちらもワクワク感を楽しむ。

■自分のセールス点…格好つけない性格。自分が楽しんでやっているので、まわりも楽しませてあげられる雰囲気があること。

(飯貝拓司=撮影)