世界最強の投資銀行「ゴールドマン・サックス」、世界最高のコンサルティング・ファーム「マッキンゼー・アンド・カンパニー」、そして世界最上級のビジネススクール「ハーバード」の超エリートたちが大切にする“仕事の基本”とは? この2社1校で実務、学びの経験を経て、現在自身の企業を経営する戸塚隆将さん。エリートのエリートたる所以は、基本作法と習慣にあった!

“10分前”の精神で心に余裕を

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「時間を守る」。これは人が社会生活を送るうえで、もっとも大切な万国共通のルールである。時間は守るだけではない。「5分前の精神で行動する」ことを、仕事の基本として叩き込まれたビジネスマンも多いだろう。が、戸塚さんは「10分前の精神」が重要だと断言する。

「ゴールドマンの新人時代、大きなプロジェクトの中で時間ギリギリに行動していた私の姿を見た上司に叩き込まれたのが『10分前』。プロであれば、これが基本中の基本だと。それに加え、目の前の忙しさを理由に、遅刻を『仕方がない』と思ってしまうことの怖さを教え込まれました」

約束の場所へ10分前に到着すれば、相手がどんな人で何回会ったか、また前回はどんなことを話したかなど、あれこれと思い巡らす時間が生まれる。

「手帳を見返すだけでも、ミーティングの冒頭がスムーズになる。本題に入る前の雑談的な部分がもっとも大事。そこから入ることで、建設的なミーティングになることも多々ある。10分というのは、そのためのレビュー時間としてもいいのです」

10分は、ミーティング前の準備タイムでもあり、さらにもっとも効果的な理由は、心の余裕が生まれることだという。

「ミーティングのためにいい中身を用意してきたにもかかわらず、時間ギリギリに到着してしまったり、5分遅刻した瞬間、相手に対して『すみません』というところから入ってしまう。申し訳ない気持ちの中で、強く主張することができず、逆回転してしまう」

遅刻ばかりする人は、常に「しまった」という気持ちから、心に余裕を持つことができなくなる。引け目を感じ、時間に追い立てられながら仕事をするよりも、10分前を心がけることで生まれる心の余裕が、確実な成果を生むのだという。「時間を守る」という普遍的な作法が、ビジネスをスムーズに運ぶことを忘れてはならないようだ。