「怒り」が起業の原動力に
朝日ソーラーの林がトヨタと組んでいったんは進出しかけたのが住宅事業だ。業界の先達で、ミサワホーム創業者の三澤千代治は最近、新たな住宅メーカーのミサワ・インターナショナルを旗揚げした。三澤は今年70歳になる。
4年前の夏、三澤は経営危機を迎えたミサワホームから追放された。しかも産業再生機構傘下で再建を進めるためのけじめとして、持ち株もすべて供出させられた。三澤は役員としても株主としても、完全に影響力を失ったのだ。ちなみにミサワホームでは、生え抜きで竹中平蔵・元金融相の実兄でもある竹中宣雄の社長就任が決まっている。
自ら招いた経営不振がそもそもの原因ではあるが、カリスマといわれた創業者がこれほど軽く扱われるのは異例のことだ。三澤にとっては、何があっても許せない成り行きだろう。
「そうですね。怒りが原動力になっているのは事実です」
静かな口調でこう語る。三澤は学生時代に考案した木質パネル接着工法を事業化し、これを武器にミサワホームを業界大手におしあげた。よくも悪くも、プレハブ業界を代表する人物だ。