朝の過ごし方は、仕事を引きずらないため、夜とは違って十人十色だ。今回、プレジデント編集部では各社エースの朝の過ごし方に密着取材。その多様さから、仕事に対する姿勢も見えてきた。
コミュニケーションがすぐに取れるのが魅力
朝活と聞いて、ラジオ体操や座禅を思い浮かべた人は、それだけで旧人類の証し。時代から取り残されている。転職人気ランキングで4年連続第1位(DODA調べ)に輝くグーグルでは、朝っぱらからサルサを踊るのである。
朝8時。六本木ヒルズにあるグーグル本社のとあるフロアに、サルサ部の部長である林勝明さん(31歳)ほか、面々が集まってきた。男性は全員がカジュアルな服装で、スーツにネクタイはゼロ。女性陣がサルサシューズに履きかえるだけで、準備完了である。
林さんはサンフランシスコ州立大学に留学中にサルサに出合った。
「アメリカの大学は勉強が大変で、なかなか友達ができない。そこで、ダンスを思いついたのです」
踊れば、多少語学が苦手でもコミュニケーションができる。戦略は見事に的中して、友達ができた。
「ダンスはソーシャル(社交)に、大いに役立ちました」
その経験に加え、六本木界隈にはサルサが踊れるクラブがたくさんあった。そこで、林さんは「ヒルズブ!」の一つとしてサルサ部をつくった。「ヒルズブ!」とは、簡単に言えば六本木ヒルズに入居する企業の社員による部活である。さまざまな企業から参加があり、サルサ部は現在、グーグルの社員が約60人、“ご近所さん”の社員を含めると200人となる。
活動はほぼ週1回。平均参加人数は20人弱。月に1度、ヒルズ近くの店にて盛大なダンスパーティーを催す。このパーティーが新規参加のきっかけにもなる。
ちなみに林さんは、ほかにも朝活動として「ヒルズブ!」のおすすめ会とゆるラン部にも顔を出す。おすすめ会は、早朝、カフェに集まってお茶を飲みながら自分の“おすすめ”をみんなとシェアする会。一方、ゆるラン部はその名の通り、ゆるくランニングする部で「汗かき禁止」だそうである。
さて、ステップのおさらいが終わると林さんが朝にふさわしい音楽をセレクト。本日はカーペンターズ「ウイル・ユー・スティル・ラブミー・トゥモロー」のサルサバージョン。朝っぽく爽やかだ。
ステップは意外に簡単。1曲踊ると、わずかに汗ばむ程度だ。終了は8時45分。目が覚めるというより、体が目覚める感じである。