朝の過ごし方は、仕事を引きずらないため、夜とは違って十人十色だ。今回、プレジデント編集部では各社エースの朝の過ごし方に密着取材。その多様さから、仕事に対する姿勢も見えてきた。
始業前の1時間は自分の頭の整理タイム
「早朝にランニングするようになってから、余計なことを考えなくなりましたね。走ると頭がスッキリして、上手に切り替えができるようになったんです。おかげで始業前の1時間を効率的に使えるようになりました」
TOTOパブリック商品企画部企画主幹兼パブリック商品企画第一グループリーダーの島田崇康氏は、日に焼けた顔でこう語る。早朝5時に起床し、5時半から自宅の周辺をランニング。シャワーを浴びて8時前に出社する朝型生活を2年ほど前から続けている。海外や地方出張のときも欠かさず走り、走行距離は1カ月に平均200~250キロにも及ぶという。
出社後の1時間は「自分ひとりの時間」にあてている。まだ誰もいない時間に、その日の仕事の確認や会議の資料づくり、そのほか日々考えていることを書き出して、心静かにアイデアを練るのだ。
「限られた1時間の中で、その日できるアウトプットをしようと心がけています。いきなり100点を狙わず、30点レベルでもいいから、毎日思いついたことをノートに書きとめたり、エクセルにまとめておいたりします。いわば『自分の頭の整理タイム』ですね。始業前にこうしておくことで、始業後はトップスピードで仕事に入れるようになったんです」
島田氏が朝ランを始めたのは同僚から社内の駅伝大会のメンバーに誘われたことがきっかけだった。実はもともと早起きは得意。朝ランをする前から8時には出社していたというが、今とは時間の使い方が大きく違っていたと振り返る。
「ダラダラと過ごしてしまい、メリハリをつくれなかった」。朝早く出社しても、結局夜10時過ぎまで会社に残り、がんばりすぎて疲れ果ててしまうこともあった。
「当時は営業だったのですが、すべてに全力投球しなければいけないという気持ちで取り組んでいました。でも、その結果、逆に部下に仕事を任せられなくて自分ですべて抱え込むなど、がんじがらめになっていたような気がします」
しかし、走って体力を使うようになってからは、体が疲れるので夜も7時くらいで切り上げる。限られた時間の中で最大限の成果を出そうと考えたら、自分はポイントだけ押さえて、ほかは自然と部下に任せられるようになった。
「時間の使い方がうまくなり、仕事の指示の出し方もスムーズになったような気がします」