企業別では、報酬1億円以上の経営陣を7人輩出したのがソニーと野村HD。6人を数えるのは大和証券グループ本社、日産自動車、任天堂、ファナック、みずほFG。信越化学工業、ソフトバンク、日本板硝子、三菱商事は5人。新生銀行、大日本印刷、トヨタ自動車は4人。3人となるとHOYAやJFEHD、青山商事、エイベックス・グループHD、コーセー、富士フイルムHD、三井不動産、三井物産、三菱UFJFGなど多数にのぼる。知名度はやや低いものの、パッケージソフトウエアメーカーのワークスアプリケーションズも報酬1億円以上の経営陣は3人、うち2人は3億円を超える。

会社対会社でいえば、親会社と子会社で報酬が逆転していたのはソフトバンク。孫正義社長の報酬1億800万円に対し、子会社ヤフーの井上雅博社長は1億5900万円。メガバンクと大手証券では、三菱東京UFJ銀行の永易克典頭取1億1100万円に対して、野村HDの渡部賢一社長はその3倍に迫る2億9900万円だった。

亀井静香前金融・郵政改革担当大臣の一存で決まった今回の個別開示だが、各企業の対応に差が出たのも事実。

報酬が1億円未満でも代表取締役副社長の報酬が6600万円だったことを発表したのは資生堂。データ通信サービスを手がけている日本通信は、2000万円台の役員を含め上位5位までの取締役・執行役員について個別開示。同社は三田聖二社長の社宅費用が630万円だったことも明らかにしている。野村HDは欧州駐在の執行役員に住宅・交通費などで8800万円を、日本たばこ産業もスイスの子会社の代表者に、住居・社有車費用、生命保険、医療保険、企業年金負担で3700万円ほど加算していたことを明示した。

みずほFGの取締役としての報酬は、在任が3カ月だったことから100万円にすぎなかったものの、会長を務めていたみずほコーポレート銀行からの報酬で1億円を突破した齋藤宏氏。その齋藤氏もその他として1300万円の収入があったが、社宅などの費用だろう。

個別開示ではないが役員退職年金の総額と対象者数を明示したのは、三井物産、富士フイルムHD、三菱商事。1人当たり平均でそれぞれ445万円、392万円、202万円だった。

※すべて雑誌掲載当時