総理の地元で私が話したこと
私は、選挙期間中の12月9日に、安倍晋三総理大臣の名代として、安倍総理の地元である山口県下関市での演説会に呼ばれた。安倍総理は他候補の応援に入るため、選挙期間中に一度も地元入りができない。そこで私に白羽の矢が立ったのだ。身に余る重責であったが、私は次のような話をさせていただいた。
「みなさん、今回の総選挙の投票日である12月14日は、忠臣蔵の赤穂浪士が討ち入りを果たした日と日本国民は認識しているかもしれませんが、ここ山口県(旧長州藩)では違うはずです。
そうです。高杉晋作が長州藩俗論派打倒のために功山寺(下関市長府)で起こしたクーデターにより決起しようとした日です。翌15日には功山寺で挙兵し、一連の戦いによって長州藩は倒幕派に統一されたのです」
今回、争点がない、大義がないと野党から散々な批判があったが、勝利をおさめたことについて、まずは喜びたい。野党候補は演説の冒頭で大義や争点がないと批判しつつ、最後には「政治の流れを変える」「消費税増税を止めるラストチャンス」と争点があるかのような訴えをしていた。自らの矛盾に気づいていないのだとすればどうかしている。
民主党をめぐる動きについて労働組合が以前のような強さを発揮できなくなっているという指摘があるが、それは組織の高齢化や弱体化というよりも、私は民主党政権のときに給与が下がり、安倍政権が給与を必死になって上げているのが原因だと思う。特に民主党政権時には、年金も含めて公務員給与を大幅カットした。それを安倍政権が元に戻したわけだが、本来の保守と革新の構図とは逆のことが起きた。
維新の勢力をほぼ維持できた江田憲司氏は、橋下徹氏の自滅待ちというスタンスになるだろう。野合でしかない選挙協力でも効果があったことは間違いなく、民主・維新連合は今後大きな力となりうるが、民主と維新が選挙協力した選挙区で、民主党の支持母体である「自治労・官公労」批判を、橋下氏が延々と繰り広げたことを考えても、野党再編で橋下氏は邪魔になる。
前回と比して、大阪小選挙区で維新の当選者は半減以下。維新全体として議席が1議席しか減らなかったのは、大阪以外の地域での奮闘のおかげだ。普通の感覚なら、橋下共同代表か松井一郎幹事長が、党職を辞任すべきだが、辞任しないとしても求心力はどんどん低下するだろう。江田氏は笑いが止まらないだろう。今後、維新の党は分裂含みで政局が推移するだろうが、今度ばかりは橋下氏が窮地に立たされることになる。