『海賊とよばれた男』の主人公として、再び脚光を浴びた出光興産の創業者、出光佐三。東西古典に精通した碩学の経営者・北尾吉孝氏は、その言葉をどう読み解くか。

3.多大な苦労や苦難は人間を強くさせるのか

出光佐三は創業以来、一貫して「消費者のため」という理想を掲げ、それに反するカルテルに加わらなかった。

それゆえ戦後は外国のメジャー石油会社と組んだカルテル側から徹底的に攻撃され、たいへんな苦戦を強いられることになる。周囲はすべて敵ばかり、そんな状況でも彼は弱音を吐かず、信念を貫き通し、ついに世間の支持を勝ち取ることに成功したのである。

僕がいつも楽観的だと評されるのは、ひとえに苦労の賜だ。
恒心(こうしん)を得たのである。

そして、その過程で佐三は、何が起こっても動揺したりぐらついたりしないという意味の「恒心」を得た。それは苦難を乗り越えたからこそ自分のものにすることができたのだ。