「悪魔の書」などと呼ばれつつ、多くのリーダーに読み継がれてきた『君主論』。現代のマネジメントにも通じる究極のリアリズムを心理学的に解説する。

4.いつも高評価を得る人は何が決定的に違うのか

ビジネスは結果がものを言う厳しい世界です。どんなに口で「頑張ります」と言っても、結果が伴わなければ認められません。もしも、自分が信頼されていないと感じるならば、まずはあなた自身の行動を振り返ってみてほしい。人間の口は嘘をつきますが、行動は嘘をつきません。「やる気があります」と言いながら、毎日遅刻してくれば、その人は「やる気がない」ことを行動で示していることになる。宣言するものの、それを実行しない人は意外に多い。だから信頼されないのです。

偉大な事業をなし、比類のない模範を自ら示すことほど君主に対する尊敬をもたらすものはない
ニッコロ・マキアヴェリは、中世イタリア・フィレンツェ共和国の軍事・外交担当の書記官。1512年共和国がメディチ家に打倒されると職を追われ、郊外に隠棲。『君主論』はこの時期に執筆された。(Getty Images=写真)

「行動」は、信用をもっとも高められる行為。要するに、事実としてアピールできるもののほうが信用を得やすいのです。賢い上司であれば、部下の行動を見て判断しているはず。僕が上司ならば、1日の訪問件数など、はっきりと数字でわかるもので営業マンを評価します。

例えば、一度も恋愛経験がない人が恋愛心理学者を名乗っても、その人の理論は全く信用されません。「模範を自ら示す」というのは、行動し、結果を残すということ。立派な企画書でも、結果が伴わないなら評価されない。いつもいい加減な仕事ぶりでも、実績が伴えば高評価が得られる。大切なのはなんでもいいから、とにかく結果を残すこと。実績さえあれば、いつか必ず職場内外からの評価が高まり、あなた自身への信頼度も高まるはずです。