大手家電メーカーが軒並み苦戦を強いられている中、ごくごく小規模なメーカーが元気だ。なぜ彼らは少人数で革新的な製品を生み出し、ヒットにつなげることができたのか。その秘密に迫る。

家中の家電を1つのリモコンで制御

グラモ創業者 後藤 功氏
スマホと連携できるネットワーク接続型の学習リモコン「iRemocon」。25600円(税別、想定販売価格)

ユーザー体験やベネフィットを徹底的に考え抜く、もしくは「こんな製品があったらいいな」を起点に発想するのが、家電ベンチャーの特徴のようである。

グラモの「iRemocon」も後藤功氏自身の「あったらいいな」から生み出された製品だ。iRemoconとは家電のリモコン信号を学習させることにより、スマホを使って自宅や外出先からさまざまな家電をコントロールできる製品である。複数の家電のリモコンを1台に集約する学習リモコンの役割に加え、帰宅中にエアコンをつけて室内を適温にしておくといった遠隔操作を可能にする。

後藤氏は地元大分県の企業からNECに出向して携帯電話のFOMAの開発に携わった後、IT系ベンチャーに転職。そこで10年間にわたって勤務し、子会社の取締役を最後に退職して、グラモを創業した。

iRemoconのアイデアは、会社勤めをしていた時代に生まれた。

「自宅にホームシアターがあるのですが、5個も6個もリモコンを操作しないと見られない状態でした。当時も海外の学習リモコンがありましたが、価格が10万円くらいするうえに、自分でプログラムする必要がありハードルが高かった。そんな時期にiPhoneが発売され、『これで学習リモコンと同じことができるのでは』と思いついたんです」