大手家電メーカーが軒並み苦戦を強いられている中、ごくごく小規模なメーカーが元気だ。なぜ彼らは少人数で革新的な製品を生み出し、ヒットにつなげることができたのか。その秘密に迫る。
コンパクトサイズにこだわる理由
想定ターゲットを絞り込むことで個性的な商品展開を行っているのが、ウィナーズが展開するキッチン家電シリーズ「レコルト」。同ブランドの製品は、パーソナルユースを追求したコンパクトな設計とカラフルなデザインが特徴だ。
たとえば10年の発売以来、シリーズ累計で出荷台数60万台を超えるミキサー「ソロブレンダー」はボトルに材料を入れてスイッチを入れるだけのシンプルな設計。飲み切りサイズの350ミリリットルで、ボトルを外せばそのまま飲めて洗浄も簡単だ。
代表の岡野真二氏は、「イメージしているのは小さなキッチンと90センチ角のテーブルに2つの椅子がある生活をしている人たちです。その中で私たちの製品がどう並び、使われるかというところからサイズや色、デザインなどを考えます」と話す。
レコルトの製品は流通も独特で、家電量販店ではなく主に雑貨店で販売されている。製品の機能がシンプルでコンパクトな設計なのは、家電が専門ではない雑貨店でも扱いやすくするため、という側面もある。
ウィナーズの設立は1992年。岡野氏の実家はプラスチックの製造業を営んでおり、米ブランドの日本向け製品づくりを請け負っていた。さらにパッケージデザインやカタログ製作、プロモーション業務を受注するため、新たにウィナーズは設立された。2000年代に入り、生産が徐々に中国へ移る過程で、岡野氏は「自社で工場を持つのは無理だが、中国の工場でOEM生産すれば素早く、自分たちのブランドが持てる」と気が付いた。
レコルトブランドを立ち上げたのは09年。現在は13アイテムを展開している。
「ミキサーやトースターはすでにある製品カテゴリーですが、その中で他の真似ではない、自分たちならではのヒネリをきかせた製品づくりを心がけています」
1986年 サラリーマンから転身し、祖父の代から続くプラスチック製造工場を継ぐ
1990年 米アウトドアブランドの日本向け製品を製造
1992年 ウィナーズを創業。同ブランドの製造からプロモーションまでを手掛ける
2000年 生産を徐々に中国の工場に移し、製造ラインを確保する
↓Turning Point↓
2006年 ドイツの家電メーカーの総販売元となる。欧州の家電は日本家庭には大きすぎることを実感
2008年 オリジナル家電第1号「カフェデュオ」発売。雑貨屋で小さいサイズが受ける
2009年 オリジナルブランド「レコルト」を立ち上げる
現在 ソロブレンダーシリーズ累計60万台以上を売り上げる