仕事にメリハリをつけるとき、自分の1日のリズムを知るのも大事だ。

生体リズムの研究によれば、個人差はあるものの、一般的には起床後、体温が上昇するにつれて集中力が増すという。よって、頭が冴えている午前中が最も作業効率がよく、頭を使う仕事や自分がエネルギーを注ぐ仕事をするのに適していると言われている。

「ただし、昼食で満腹になったあとの午後のデスクワークは集中力が途切れる人が多いようです。そこであえて午後イチに面談や外出といったアポを入れるといいかもしれません。間延びした時間を自ら排除するのです。午後3時以降は再び集中力が戻るので、残った仕事を一気に片付けます」(有川真由美氏)

生体リズムは週単位(曜日)でも変化しており、週の前半はやる気も仕事の効率も高いが、週の中頃になると疲労の蓄積などの影響でやる気・効率ともガクンと低下して、週の後半は休日を前にするからか、再びやる気と効率が上がると言われている。よって、重要な仕事は週の前半か最後にするようにすればいいかもしれない。

会社でせっかく集中しようと思っていてもメールや電話が次々に入り、いつのまにか1時間、2時間……と非生産的な時間が経過してしまうことが多々あるはずだ。だからこそ「邪魔の入らない時間と空間を確保する」というのもメリハリ術の王道といえる。

「『1時間、ほかのことはしない!』と決めて電話とメールは意図的にシャットアウトして、集中できる時間と空間を確保するのです」(有川氏)

昼間がどうしても慌ただしいのなら、早朝の誰もいない時間や、使っていない会議室、近くのカフェなどを利用してもいい、と有川氏は言う。

一方、ハイブリッドコンサルティング代表の吉山勇樹氏はトップランナーたちの時間の使い方を観察すると、ONとOFFの時間配分に独特の流儀があることに気づいたという。

「多忙な彼らですが、実はOFFの時間がとても充実しています。共通点はとにかくお楽しみをたくさんつくっているということ。仕事終わりや週末、長期休暇に、デートや釣り、ライブ、ショッピング、旅行、マッサージと、『この仕事を終えたら……』というイベントをスケジュールの先に組み込み、それを実現するために仕事のサイクルを早め早めに回していくのです」

仕事をてきぱきこなすには、脱力タイムを用意して自分をケアすることも大切。脱力のためにかかるコストも、長い目で見れば、より一層の時間効率化に向けた投資といえるのだ。

作家・写真家
有川真由美
化粧品会社、塾講師など多くの職業経験を生かした「働き方」のアドバイスに定評。著書に『仕事ができて、なぜか運もいい人の習慣』など。
 
ハイブリッドコンサルティング代表取締役CEO
吉山勇樹
ハイブリッドコンサルティング代表取締役CEO。年間200日を超える企業・団体での研修・講演を。2013年1月に『シゴトダイエットのススメ』を刊行。
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