ハイパーインフレか、財政破綻か

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悪化する日本の財政事情

かねてから私は日本が財政破綻に陥る危険性について指摘してきたけれど、もしも自民党の安倍総裁が選挙前におっしゃっていたことを本当に実施するなら、財政破綻は免れるでしょう。ただし、その代わりにハイパーインフレへの道まっしぐらです。その結果、国が抱えている976兆円の借金は紙クズ同然になってしまいます。ハイパーインフレとは、たとえば、極端ですが、タクシー初乗り運賃が9兆円になる場合をイメージしていただければわかりやすいと思います。ドイツでは、1923年1月に250マルクだったパン1個がその年末には3990億マルクになり、給料をもらっても1~2日目にパンを買うと3日目からはお金が尽きてしまうという状況になったのです。

もっとも、現実的には自民党もそこまで大胆な手は打てないと思います。間違いなく言えるのは、ハイパーインフレに見舞われようが財政破綻に陥ろうが、どっちに転んでも地獄だということです。

日本でも終戦直後にハイパーインフレが発生し、46年には預金封鎖が実施されたことがあります。預金封鎖とともに円紙幣の新券切り替えを行うことで、ハイパーインフレの抑制とともに国民財産の剥奪を行ったわけです。このようにハイパーインフレでは、財政破綻と同じような地獄が待っています。歴史を振り返ってみても、インフレ率を2~3%程度のほどよいところに抑え込むのは難しく、今まで各国の中央銀行がことごとく失敗しています。

ハイパーインフレが起こらなければ、日本の財政はまったく改善されないまま悪化が続いていきますから、破綻の日が刻一刻と迫ってきます。すでに赤字は極限まで達しているのに今後もどんどん増えていきますから、具体的にいつかはわからないものの、破綻する日は遠くないと私は思っています。80年代の株・不動産のバブル崩壊を予測できた人は皆無でしょう。バブルが極限まで拡大するとほんのささいなことでポンと破裂するのが常です。