お父さんが一人でがんばるしかないのか

JALの経営破綻後、会長に就任した稲盛和夫さんはJALにアメーバ経営を導入しました。アメーバ経営には素晴らしい工夫が詰め込まれていますが、ここで注目したいのは、1日の採算表を経理に提出させることにした、ということ。それまでJALは収支報告が2カ月、3カ月遅れるのは当たり前で、経営幹部ですら把握が難しい状況でした。

私はクライアントに日報を書いていただく仕事をしていますが、日々の数値がわからなければ解決手段もわかりません。

JALの経営再建でも具体的な数値を出して、作戦を練りました。そして、目標を組織全体で共有しながら部署ごとに経営状態を改善していく「アメーバ経営」を構築していったのです。こういった稲盛さんのアメーバ経営のエッセンスを家計にも応用してみましょう。

「わが家は赤字だぞ。みんなで協力してどうにかしよう」。お父さんがいきなりこんなことを言いだして、家族はみんなびっくり。長男くん(10歳)は「僕は何もできないし、わからないから、結局お父さんが一人でがんばるしかない」と考えました。

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今日からわが家で使える「稲盛式家計シート」

お父さん主導のもと始まった家計再建ですが、闇雲に突き進むだけではいろいろなことを見落としてしまいます。まずはきちんと目標を立てましょう。家族がどんな将来を目指すのかというビジョンをつくり、そのために何が必要かを考える。そのとき必要になってくるのが家計簿です。面倒くさそうで敬遠されてしまいがちですが、まず初めは「水道光熱費」「食費」のようなざっくりしたもので構いません。慣れてきたらより細かい項目を増やしてもいい。

大事なことは、日々書き続けることです。その中で、問題点や改善点が見えてきます。気づいたことは日々書き込んでいきましょう。人間は大事なことでもすぐに忘れてしまいますが、書いたものは残ります。それに文字は見えるものですから、みんなの考えがよくわかるようになります。