市販を始める15年以降のFCV開発を手掛ける小島にとって、これからの課題は何なのか。その問いに対しては、

「効率化の追求がすべてです」

と語り、今後の目標を次のように話した。

「燃料電池の効率がよくなればなるほど、必要な水素量は減っていきますし、航続距離を長くすることができます。そのためには、車の空気抵抗を下げる、車両を軽くする、そういったすべての見直しが必要です。燃費を高める技術開発を今後も続けていけば、その先に燃料タンクを一本にする道筋が見えてくると思います」

考えてみると、EVもFCVも「電気」で走ることに変わりはない。ただ、航続距離でEVの200キロメートルに対し、FCVは500キロメートル以上と両者には根本的な違いがある。小島は、

「都市部のコミューターとしてはEV、中長距離の利用にはFCVと、用途によって住み分けができていくのではないか」

と語り、FCVの未来を展望した。

12年6月、トヨタは独BMWと、燃料電池システムなどを共同開発する契約を締結した。これにより、20年以降、共同開発車を年間数万台レベルで量産することを目指し、日独連携による世界市場の開拓に取り組むことになった。ホンダ -GM、トヨタ-BMWの提携が、FCV市場の形成にどんなシナジー効果を生むのか、EVとの競合も含めて、来年以降の戦いから目が離せない。

(文中敬称略)

(的野弘路、宇佐美雅浩、青沼修彦、永野一晃=撮影)
【関連記事】
トヨタvsホンダ「コンパクトカー燃費戦争」の裏側
火花散る軽自動車・燃費ウォーズ【1】
超低燃費ガソリン車を生んだ「逆転の発想」 -マツダ・デミオ
エネルギー強靱化の秘密兵器は「水素」にあり
原点に戻れ! 燃費30km「理想の車」が走り出すまで -ホンダ