スマートフォン(スマホ)向けゲームを手掛けるコロプラが驚異的な成長を続けている。2013年10~12月期の売り上げは前四半期比70%増、営業利益は108%増となった。モバイルゲーム市場においてガンホーの次の主役として注目を集めるが、両社の戦略は大きく異なる。
ガンホーの場合、売り上げの約9割を大ヒットゲーム「パズル&ドラゴンズ」(パズドラ)が占める。ダウンロード数は2400万、月商は100億円を超える。13年10~12月期は増収に転じたが、3%の営業減益となった。今後、パズドラの大幅なアップデートが予定され、既存顧客からの収益拡大を狙う。
一方、コロプラの業績を牽引するのがクイズアプリ「魔法使いと黒猫のウィズ」(黒猫)だ。平均月商は推定20億円超。同社の強みは、黒猫に加え「プロ野球PRIDE」や「蒼の三国志」など、複数のヒット作を持つ点にある。
短期的には、この2社が業界の中心である状況が続くだろう。ただし、パズドラを超えるヒット作が生まれる可能性は低い。パズドラが支持された要因として、ゲームの先進性に加え、リリース時期とスマホの普及期が重なったことが挙げられる。1つのヒット作に依存せず、次々に新タイトルを投入するコロプラの戦略は賢明と言えよう。
2社を追うのが、DeNAとグリーだ。両社はウェブブラウザ上で遊べるゲームが支持され、隆盛を極めた。だが、スマホの普及以降、ダウンロードして遊ぶゲームが主流となり、対応が遅れた。ただし、両社には潤沢なキャッシュがある。現在、スマホ向けゲームでのヒットを目指し、開発を急いでいる。
上記以外にも、クルーズ、KLabなど、モバイルゲーム市場では数多くのプレーヤーが鎬を削る。生き残るカギは人材力と財務力にある。ヒット作を生み出すためには、優れた技術と従来に比べて高騰している制作費、広告宣伝費が必要だ。
中長期的には、スクウェア・エニックスHD、バンダイナムコHD、カプコン、コナミ、コーエーテクモHDといった家庭用ゲームを主戦場としてきたメーカーの存在感が増す可能性が高い。競争はさらに熾烈になり、中小のモバイルゲームメーカーの合従連衡が進むだろう。