千差万別! 魔法の「キメトーク」

「最初は聞き方の練習から始めます。相手を見ながらうなずいたり、興味を持って前のめりになったりして親身に話を聞き、次に質問をしながら自分がどんなゴールに向かってイニシアチブをとっていくかを考えます」

自分が一方的に商品説明をするのではなく、相手から話を聞きだしたことをきっかけにして、親身に相手の未来を考えて「こうなったらいいですよね?」「3年後ではどうでしょう?」と話を進めていくのは、前回ご説明したとおりだ。そこから製品の説明をしていくときには、長所と短所の両方をとらえていく。

「すべての商品は、何かしらの問題解決のために生まれたと思います。不便を解消するため、人を助けるため……必ずニーズがあったからつくられています。その商品の長所を見て付き合うことが必要です。私はよく、お客様には欠点をお伝えすることから始めます」

相対する面を引き合いにだすことで、一方の面を引き立たせる方法がある。和田さんも、たとえば特別なカップを紹介するなら「この商品に唯一欠点があるとすれば、この部分をつくるために、価格が上がってしまうことです」のように伝えた上で「でもね……そのために温度も下がらないし、飲みやすい」と続け、“でもね”で長所を目立たせていくという。欠点があればあるほど長所が光る。最後は相手にあわせたトークに落とし込むわけだ。

「1000人と話をするなら、1000通りのトークがあると思います。必要なのは、相手が何を求めているのかを察する力です。どうしたら相手が幸せになれるのか、喜んでくれるのかを本気で考えていくうちに、その思いが必ずお互いの頭の上にあるクラウドでシェアされるようにつながり、信頼感へと変わっていきます」

このボタンを押したらキメトークが出てくるという一辺倒ではなく、「相手から引き出す」「相手とイメージを共有できる言葉で表現する」ことが大切なのだ。そして、たとえ1000円の投資をしてでも話をしやすい環境をととのえて、「この人なら大丈夫だ」と信頼を得ることから始める。ときには「売れている営業マンのように振る舞う」ことだって大切だと和田さんは話す。フリだってハッタリだって、やっているうちに自信につながり、本当にできるようになっていくのだから。

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