顧客の言いなりになってはいけない

日本のビジネスマンは必死に働いています。顧客のニーズを真剣に聞き取り、一生懸命真面目に対応する。でもビジネスはあまりうまくいっていません。アプローチが間違っているからです。ビジネスを成功させるには価格を下げる方法と価値を上げる方法があります。多くの企業が価格勝負に挑んでデフレを起こし、自分の首を絞めているのが今の状況です。

本来、価格で勝負できるのは業界でシェアトップの企業のみです。価格を下げるのは簡単ですが、それで利益を出すには並々ならぬ努力がいる。業界一の生産性を誇るからコストリーダーシップを取って、価格競争でも黒字を出せるのです。2番手以下は利益を確保できず勝ち残れない。だから価格ではなく価値勝負をすべきなのです。

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競合が提供できる価値は捨て去る

価格競争の最たるものはディスカウントストアのコーラです。2ダースで1本30円という売られ方。ところが同じコーラを1000円で売っているところもあります。リッツ・カールトンです。ルームサービスでコーラを頼むと、15分後には最適な温度に冷やされたコーラがクリスタルのコップに入り、ライムと氷がついてシルバーの盆に載って運ばれてきます。中身はディスカウントストアのものと同じ液体なのに、この上もなく美味しい飲み物として提供され、飲んだ人は1000円払っても満足する。リッツ・カールトンはコーラという製品を売っているのではなく、心地よい環境で最高に美味しくコーラを飲めるという体験を提供しているのです。

ビジネスのアプローチを価格から価値へと転換するには「あえて捨てる」割り切りが必要です。コストをかけて多機能にしても儲からない製品はたくさんあります。

競合他社が提供できる価値はあえて捨ててでも、顧客が本当に望んでいて自社が提供できる価値を探る。この考え方を「バリュープロポジション」といいます。