住宅ローンを60歳までに完済するための最も簡単な方法が繰り上げ返済。定年完済に使えるのは、「期間短縮型」という方法だ。この方法は早いうちに実行するほど利息軽減の効果が高い。

「住宅ローンは退職金で払えばいい」と、のんびり構えている人も多いだろう。そこで、繰り上げ返済の時期による違いをシミュレートしてみた。

繰り上げ返済のしくみ/繰り上げ返済の3つのパターン

繰り上げ返済のしくみ/繰り上げ返済の3つのパターン

例にあげたのは、現在50歳のサラリーマンが10年前に借りた3500万円、金利3%、期間35年の全期間固定型ローン。パターン(1)は毎年100万円ずつ10回返済して残額を定年時に返済、パターン(2)では5年後に500万円返済して残額を定年時に返済、パターン(3)では何もせずに定年時にまとめて返済する。繰り上げ返済した総額はそれぞれ1750万円、1850万円、1940万円だ。

定年時にまとめ払いするパターン(3)でも利息軽減効果はあるが、5年後に500万円返済するパターン(2)とは約100万円の差がある。さらに、パターン(2)と毎年100万円ずつ繰り上げ返済するパターン(1)の間にも、約90万円の差がついている。

「早いうちから、こまめに返済」。これこそ定年完済への早道ということだ。

(取材・文=有山典子)