1991年の81.3%をピークに、20%近く下落した就職率。不確実な時代、確実に就職する方法とは。
大学卒業者のうち5人に1人はニート、フリーターとなる。親からすれば「高い学費を払って、わが家の不良債権になるなんて」と思うだろう。
文部科学省の学校基本調査によると12年3月卒業者に占める就職率は63.9%。大学院等進学率が11.8%、専門学校などへの進学率が2.0%。残り22.3%のうち、臨床研修医などを除けば事実上、ニートかフリーターになったとみていい。
では、偏差値や知名度の高い大学ならいい就職先があるか、といえばそれほど単純ではない。確かに偏差値・知名度の高い大学は低い大学よりも就職状況はいい。それでも、一定数はニート、フリーターに転落する。しかも、近年、人事関係者を悩ませているのがメンタルヘルスが原因による早期退職である。
「優秀だと思って一流大学の学生を採用したら、人間関係をうまくつくれない。あるいは心を病んで入社後、数年以内にやめてしまう」(機械メーカー・人事)
これではせっかく就職しても、ニート、フリーターになるのと大差ない。
わが子を「不良債権」にしないための進路はどこか。就職時だけでなく就職後にも役立つ力を身につけられることで定評があり、高い就職実績を誇る学校を紹介しよう。
「トヨタ設立なのに、ホンダやスズキなどの同業他社に就職していく大学」として自動車業界関係者の間では有名な大学がある。それが豊田工業大学だ。
トヨタ自動車が寄付金を出して1981年に社会人大学として設立。93年から一般学生の受け入れを始めた。95年からの就職先を見ていくと、1位にトヨタ自動車、3位にデンソー、豊田自動織機。以下、アイシン精機、ダイハツ工業などトヨタグループへの就職者が目立つ。
だが、2位に本田技研工業が入り、スズキ、日産自動車などの同業他社、さらに三菱電機、キヤノン、パナソニックなど電機メーカーへの就職者も多い。本田の場合、就職者が多いため、同社の担当者が求人票を持って挨拶に来るほどだ。
トヨタ以外の企業に就職することを大学もさほど気にしていない。榊裕之学長も「一定数、ライバル社などに就職できるのはむしろ健全な表れと考えています」と話す。